私が産まれたその日は、ちょっとした騒ぎになったらしい。無理もないだろう……黒髪茶目の両親から銀髪青目の娘が産まれたのだから。
とは言え、私の両親の互いへの執着愛ぶりは村中に知れ渡っていたので、母の不貞を疑う人は誰一人としていなかったらしい。どうしてかねぇ、まぁ元気に育てば良いか……よく言えば大らか、悪く言えば大雑把な両親や村人達のお陰で、私は特に迫害される訳でもなく、ごく普通に生きてきた。
「これぞまさしく神の使い!」
「ようやく聖なる乙女が、我が国に!」
私を取り巻く環境が一気に変わったのは、王様が代替わりした時だった。そうそう機会も無いからという事で王都へ遊びに行ったら、私を見つけた神官様にそんな事を言われたのだ。
事情が分からず戸惑っている内に私は拘束され、神殿へと連れて行かれた。そこで、救国に必要な知識を得るための勉強とか聖女としての力の使い方とか、そういうのを学ばされた。自由も未来も奪われ……ただ一人愛した人とさえ、引き離された。
どうにかして出られないかと考え立てた作戦を実行して、その度に連れ戻され拘束が強くなった。王都から出られないよう王様と婚約させられそうになった。毎日を生きるのが嫌になって、村娘にそんな大層な事を期待するな、村に帰して、帰りたいと、そればかりを願っていた。
「やっと準備が出来た。行こう」
暗く悲しい聖女部屋で、夜空を見上げながらただ一人を想って泣いていた、その時。夢にくらい出て来てくれと願った、会いたくてたまらなかった貴方が、目の前に現れ手を差し伸べてくれた。私は、迷いなくその手を取った。
そうして、私と彼の逃避行が始まったのだ。
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